大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和47年(オ)1114号 判決

主文

理由

上告代理人倉増三雄の上告理由第一点について

訴外水島正雄が自己の債務支払のために本件各約束手形を振り出したものである旨の原審の認定判断は、被上告人において同訴外人の債務を担保するために右各手形を振り出したとの上告人の主張に対する判断をも示したものと解するのが相当である。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

同第二点について

本件記録に徴しても、上告人が、被上告人は訴外水島正雄に被上告人の当座預金口座を使用して手形を振り出すことを許諾していたとして、商法二三条又は民法一〇九条の類推適用を主張したとは、到底解することができず、原判決に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、独自の見解に立つて原判決を非難するに帰し、採用することができない。

同第三点について

原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、訴外水島正雄の本件各手形金債務につき、いわゆる法人格否認の法理を適用して被上告人の債務と認める余地はないとする原審の判断は、正当として是認することができる。論旨は、採用することができない。

(裁判長裁判官 関根小郷 裁判官 天野武一 裁判官 江里口清雄 裁判官 高辻正己)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例